日本の昭和の経済基盤の盤石化

日本の昭和の経済基盤の盤石化、その歴史を見ていきましょう。

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第一の最も重大な経済体質の強大化は、国際収支の大幅黒字が常態化したことで、この結果、さる三七年や三九―四〇年のような金融引締めに基づく景気の大反落はもはやありえないことになった。

 

すなわち金融引締め政策に基づく景気転落は、かりにあっても、その幅はわずかにとどまるという新尺度に変わったのである。

 

第二に、企業体質がその設備においても、その収益力においても、財政力においても、一二七―四〇年当時に比して飛躍的に向上している。この結果、金融引締め、または景気低下に対する企業の対応力は著しく強大になっている。

 

すなわち、三七―四〇年当時のように、不況に対する企業の抵抗力が脆弱のため、この側面かわ不況を加速的に激成させるということは、もはやありえないとみて大過ない。

 

第二に、わが経済実力の強大化の結果、海外不況の影響度も著変している。というのは過去においては、わが重化学工業品は、国際市場においては限界供給者であったが、現在においては邦品の多くは優先的選択商品に一変している。

 

すなわち、過去においては、不況の場合真っ先に邦品需要が落ちたが、現在では邦品を減らすのは最後になりつつある。その典型は鉄鋼の対米輸出の自主規制であって、この場合、アメリカで少々の不況がきてもアメリカのわが鉄鋼購入はほとんど減らないであろう。

 

さらに、過去においてはわが重化学工業品の輸出はアメリカ市場に偏在していたが、いまや、アメリカ以外の市場の比重が増大している。

 

この結果、アメリカの不況がわが景気を圧迫する度合いは過去に比し減じている。現にアメリカの不況化が進行しているにもかかわらず、そのわが輸出全体に対する影響が僅少にとどまっているわけである。第四に、国内総需要の増大が大きく、かつ定着的となった。

 

というのは、

 

@賃金給料の継続的大幅の引上げとボーナスの増大、事業収益の増大、配当の増大と株価の高騰等による国民購買力の顕著な、かつ定着的増大がある。
A財政支出、特に社会投資の増大が前途さらに加速される状態にある。

 

公害防止設備、運輸、電力等の、非製造業設備の増大が急務化しており、そのうえに、省力設備の要求が一段と強くなっていて、前記の設備投資の減速化への屈折にもかかわらず、全体としての設備投資の急減は考えがたい。こうした根本的基盤に立って、今後の景気の動向をみるべきだと思う。